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Service Listラマン分光分析装置

原理及び特徴

物質にレーザー光などの単色光(振動数ν0)を照射した場合、 その物質から散乱されてくる光には照射光と同じ振動数ν0の光(レイリー散乱光)と、 振動数がν0±νRの非常に弱い光(ラマン散乱光)が観測されます。

ラマン散乱光のうちν0+νR をアンチストークス線、 ν0-νR をストークス散乱と呼びます。 ラマン散乱光は、その物質を構成する分子の振動、回転、伸縮に伴い分極率が変化するとき、 ある決まった波数だけ入射光よりずれて現れます。この波数値をラマンシフトといいこれを測定します。 ラマンスペクトルはその分子に特有ですので物質の同定が可能です。

図9-1 ラマン分光分原理図

装置の構造にはシングルチャンネル式とマルチチャンネル式の2種類がありますが、この装置はマルチチャンネル式で図9-2に示すように、3つのモノクロメーターを直列に配置したトリプルモノクロメーターの構成であり、分散モード、加分散モード、シングルモノクロメーターモードの測定モードを使い分けることができます。

図9-2 ラマン分光分析装置の構成図

仕様(JOBIN YVON/堀場:T64000)

分光器配置差分散トリプル
加分散トリプル
焦点距離640mm
回折格子1800、600
分解能PMT:0.15 MCD:2.1
開口値F/7.5
波数走査範囲0~1000nm
測定波数幅1024
波数走査機構サインバー方式
波数精度±0.1cm-1
波数再現性±0.2cm-1
検出器CCD、PMT
CCD検出器タイプ2000×800
レーザー種類Ar、He-Ne

使用例

図9-3 ダイヤモンドの測定
図9-4 黒鉛の測定