機器分析利用サービス一覧

Service List走査プロープ顕微鏡

原理及び特徴

走査プローブ顕微鏡(SPM)は試料表面に微小なカンチレバー(探針)を近づけて、 探針・試料間に働く物理量(トンネル電流、原子間力等)を検出しながら走査することにより、 微小領域の形状観察および物性分析を行うことができる装置です。 また、ナノオーダの表面硬さや密着強度を測定することのできるナノインデンテーションとナノスクラッチ機能が付いています。 主なSPMによる形状測定であるSTMとAFMのそれぞれの原理について説明します。

走査型トンネル顕微鏡(STM)

 STMは探針・試料間に流れるトンネル電流を利用して、高分解能な原子像観察を行なうことができ、 半導体や金属等、導電性のある試料の測定が可能です。 測定原理を図10-1に示します。

図10-1 走査トンネル顕微鏡構成図

金属性の探針と導電性試料を微小電圧を印可した状態で、量子学的に電子雲が重なり合うような距離(1nm程度)まで近づけると、 トンネル効果によって電流(トンネル電流)が流れます。

トンネル電流は距離に非常に敏感で、探針・試料間の間隔が1Å増減するとトンネル電流は約1桁変化します。 探針は3次元に移動する圧電素子に取り付けられ、トンネル電流を一定に保つようにZ軸を制御します。 Z軸の素子に加えた電圧を高さに変え画像化します。

原子間力顕微鏡(AFM)

図10-2 原子間力顕微鏡構成図

探針・試料間に力が作用すると探針が上下にたわみます。 このたわみ量は探針にレーザーを照射した反射光を利用して凹凸検出し、 それを平面方向に走査して像にします。

その他に摩擦力測定、粘・弾性測定、位相イメージング、磁気力測定、電界力測定、表面電位測定、電気化学測定などの機能も付いています。

仕様(セイコーインスツルメンツ:SPI3800)

XY走査電圧±200[V]max
サーボ電圧±200[V]max
スキャン方式DSPプログラムによるDAコンバータ制御方式
検出系光てこ方式 (半導体レーザおよび4分割変位検出系)
分解能面内:0.2nm 垂直:0.01nm
試料サイズ最大35mmφ×10mm
走査範囲最大150μm
ローテーション±180℃
最大測定データ1,024×1,024
同時測定512×512 max

使用例

図10-3 アルミニウム表面の酸化皮膜の観察

アルミニウムの板を一般的に使用されているリン酸-硝酸系液で化学研磨したあとに生成した酸化皮膜の表面形状を観察したものです。

図10-4 Siパターンの観察

シリコンの表面に一定の間隔でパターンを切って表面形状を観察したあとに、任意の場所を自由にその横幅や高さを測定することができます。