機器分析利用サービス一覧

Service ListX線回折装置

原理及び特徴

多目的粉末測定部 微小部・応力測定部 薄膜測定部
単結晶測定部 ルーチン粉末測定部

物質にX線を当てるとX線は物質に吸収されたり、散乱されたりします。 X線回折測定ではX線のブラッグ反射により物質中の結晶構造(原子の配列)について調べます。 通常、微粒粉末試料を用いるので、すべての格子面からのブラッグ反射を捉えることができます。

波長:λのX線を格子面間隔:dの結晶に照射すると、格子面に対する入射角:θ (これは反射角と等しい)が、

nλ=2dsinθ (ブラッグの条件)

を満たすときブラッグ反射が起こります。 この角度の測定より格子面間隔:dが分かり、物質の結晶構造・種類を知ることができます。 また、元素の量は回折線の強度より、試料の結晶子サイズについては回折線の広がりから得られます。

図5-1 ブラッグ反射

通常の測定の他、加熱しながらの測定やゴニオメ-タを変えることにより、試料の内部応力や薄膜に対する測定、さらに高分子など格子面間隔の大きい物質の解析に必要な小角散乱回折実験などが行えます。また、デ-タ解析にも各種ソフトが用意されています。

装置は図5-2のように、X線発生装置、角度2θを測定するゴニオメ-タ、回折強度を計測する計数(記録)装置、これらの制御とデ-タ処理を行う制御演算装置からなっています。

図5-2 装置の構造

仕様

多目的粉末測定

形式Bruker AXS,D8 Advance
連続定格3kW
管電圧40kV
管電流40mA
X線管球Cuタ-ゲット
検出器1次元半導体Strip検出器
解析ソフト定性分析、定量分析、結晶子サイズと歪解析、格子定数の精密測定、動径分布関数

微小部・応力測定

形式Bruker AXS,D8 Discover with GADDS
連続定格3kW
管電圧40kV
管電流40mA
X線管球Cr, Co, Cuタ-ゲット
検出器マルチワイヤー式2次元PSPC
解析ソフト定性分析、歪解析、格子定数の精密測定、残留応力解析

薄膜測定

形式Bruker AXS,D8 Discover
連続定格3kW
管電圧40kV
管電流40mA
X線管球Cuタ-ゲット
検出器NaIシンチレータ
解析ソフト定性分析、結晶子サイズと歪解析、格子定数の精密測定、結晶化度、動径分布関数、長周期、粒径分布解析

単結晶測定

形式Bruker AXS,Smart Breeze
連続定格3kW
管電圧50kV
管電流30mA
X線管球Moタ-ゲット
検出器CCDチップ
解析ソフト単結晶の構造解析、格子定数の精密測定

ルーチン粉末測定

形式Bruker AXS,D2 Phazer
連続定格650W
管電圧30kV
管電流10mA
X線管球Cuタ-ゲット
検出器1次元半導体Strip検出器
解析ソフト定性分析、定量分析

使用例

図5-3 NaCl(NaCl型構造(面心立方格子))

面心立方格子のNaClを粉末にして測定した結果です。

図5-4 Si(ダイヤモンド型構造(立方格子))

立方格子のSiを粉末にして測定した結果です。

図5-5 HgCl2(斜方晶子)

斜方晶系のHgCl2を粉末にして測定した結果です。

図5-6 Cr(体心立方格子)

体心立方格子のCrを粉末にして測定した結果です。

図5-7 X線反射率測定(XRR)によるAuスパッタ膜の膜厚解析

測定結果について解析ソフト:LEPTOS7によるカーブフィッティングの結果、膜厚は平均25nm程度と推定されます。